ダイヤモンドトロン管CRTモニターのフォーカス調整

ブラウン管モニターが懐かしくなった他、モスキート音がまだ聞こえるのか気になったために、以前ブラウン管モニターを中古で購入した。

とりあえずVGA出力のあったサーバー機に取り付けたのだが、殆どモニターを使っておらず勿体なかった。
そこで85Hzの高いリフレッシュレートを生かせるよう、ゲーム用に使おうかと思ったのだが、よく見ると四隅のフォーカスが合わなくなっている事に気付いた。

どうも古いCRTは、経年劣化でフォーカスが合わなくなってくるらしい。

コンバージョンは幸い設定メニューから修正出来たが、やはり四隅のフォーカスのブレは解消しない。

解体すると、内部にフォーカス調整ダイヤルが存在すると聞いたので、解体して調整してみることにした。

今回調整するのは、FMVDP97X9Gという、三菱ダイアモンドトロン管を採用したフルフラットCRTモニタである。
ダイヤモンドトロン管はSONYのトリニトロン管に似ているものの、トリニトロン管が1ガン3ビーム方式なのに対し、ダイヤモンドトロン管は3ガン3ビーム方式であるという違いがある。

と、その前に…

ご存じの通り、CRTモニター内部には非常に高電圧になる部品が多数存在する。聞いた話では、時には耐圧手袋を突き抜けることもあると言う。
そんな高電圧パーツに触れたら、感電は勿論の事、最悪の場合死に至る可能性だってある。

したがって、この解説記事は、ブラウン管を分解する行為を推奨するものではないという事、そしてどうしてもやるならば完全な自己責任の下行う事に留意して頂きたい。

この記事を読んで、うっかり高圧部品に触れてしまって「私はあなたの記事を読んで死にました。責任取ってください」なんて言われても困るし、正直これだけ忠告しておいてやらかすお前なんぞ地獄に落ちろとか思ってしまうのでくれぐれもどうしてもやるならば自己責任の下行うように。奇跡的に生きていても責任取れとか絶対コメントするなよ。「自己責任って分かる?」って煽るからな。

背面のラベルにも、「サービスマン以外の方は分解しないでください。」とちゃんと書いてある。「俺は家族や友達に奉仕活動(=サービス)をしているからある意味サービスマンだ!」とか屁理屈こねて、生半可な気持ちで分解しない事。
背面のラベルにも、「サービスマン以外の方は分解しないでください。」とちゃんと書いてある。「俺は家族や友達に奉仕活動(=サービス)をしているからある意味サービスマンだ!」とか屁理屈こねて、生半可な気持ちで分解しない事。

それと、掲載している画像は大変汚部屋であるが、片付けが出来ない性格なものでご容赦いただきたい。

分解する

分解しない事には何も始まらない。

分解は至って簡単で、四隅のネジを外して背面パネルを引き抜けば良い。それだけ。

引き抜くと以下の写真のようになる。全体をシャーシに囲われたいかにも丈夫そうなデザインである。このおかげで、高圧部品にはやや触れづらくなっている。が、手が届かない訳ではないので油断は大敵。

背面パネルを取り外した状態。全体を金属製のシャーシに囲われている。

肝心のフォーカス調整だが、フォーカス調整は基板上のフライバックトランスに付いている調整ダイヤルを弄って行なう。上の画像では、シャーシ手前面の左上あたりに、横方向に穴があけられているが、その穴こそが調整ダイヤルの操作のための穴なのだ。

その穴から覗くと、上の画像にようにダイヤルが見える。FOCUSと表記された右2つのダイヤルがまさにフォーカス調整ダイヤルである。今回はこの2つのダイヤルを操作してフォーカス調整を行なう。

ちなみに、最も左のSCREENダイヤルを操作すると、画面の輝度が変わる。末期も末期で、輝度とコントラストを最大にしても暗い場合はこれを操作するとよいだろう。(そこまでになったら、もはや買い替えた方が良いと思われるが…)
そういえば、昔使っていたブラウン管テレビも、壊れる直前は明るさが上下していたっけ…

実際に調整していく

ここから実際に調整していくのだが、この作業の恐しい所は、通電させて画面に何か表示させながら調整していくという点である。この時、常に内部部品には非常に高い電圧の電流が流れており、うっかりおかしな所を触ってしまえば感電は免れない。間違っても調整ダイヤル以外の内部部品には決して触れないよう気をつけていただきたい。

表示面が見えるよう本体を起こしたら、D-Subケーブルを適当な機器に接続し、電源ケーブルを接続。そして電源を投入し画面を表示させる。

裏蓋開けっぱなしで画面が表示されているのは何だか変な感じがする

画面に表示させる画像は、勿論検査用パターンを表示させても良いのだが、個人的には普段使うアプリの画面を表示させておくことをおすすめする。調整後、普段使うアプリを表示させたらかえって字が読みづらくなっていたという事もある。

ターミナル画面を表示させておくのも良い選択肢かもしれないが、僕はこれで調節した後、普段使うアプリを起動したら却ってボヤけていた。様々なシチュエーションでテストしつつ調整するのが望ましい。

調整の手順は、先程紹介したFOCUSダイヤルF1、F2をそれぞれ回し、ピントが合う位置に調整するだけ。
フォーカスを弄っていくうちに、段々コンバージョンがズレ始めるので、そうなったら設定メニューから随時コンバージョンの調整も行なう。
ダイヤル回す→コンバージョン調整→ダイヤル回す…と繰り返し、納得の行く画質になるまで調整を続ける。

だが、所詮は素人による調整。それにCRTモニタ自体古いものであるから。どんなに頑張っても中央がちょっとボヤけるか、四隅がちょっとボヤけるかのどちらかにはなる。
この調整で大事なのは、完璧さを求めない事である。あまりに完璧さを求めるあまり調整をし続けると、どこかで訳が分からない程ダイヤルを回してしまって手の施しようが無くなってしまう。
おおよそ30cmぐらい離れて文字が読める程度になればそれで良い。
要はくっきりさせるよりも、己との妥協点を探る調整だと思って作業を行なうのだ。

おおよそ納得が行く画質になったら、電源を切ってケーブルを抜き、元通り裏蓋を閉める。これで完了。

終わりに

今回はダイヤモンドトロン管のCRTモニターのケースだったが、実は他のブラウン管テレビやモニターも同様にフライバックトランスのダイヤルを回す事でフォーカス調整が可能である。

これはORION製のカラーテレビのフライバックトランスだが、フォーカスダイヤルは1個であるものの調節出来るようになっている。このテレビは壊れているため調整するとどうなるかは分からないが、多くのブラウン管テレビ/モニターはこのようにフライバックトランスに調節ダイヤルが存在するらしい。
尚、テレビなどの場合はコストカットのために、シャーシが取り除かれて基盤がむき出しになっている事が多い。感電のリスクがより高いので、安価な製品を調整する場合はより一層の注意を払った上で行なっていただきたい。と言うか、素人はやらない方が良い。僕も素人だけれど。そもそもフライバックトランスが何か分かっていないもん。

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